不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

通り過ぎていく言葉

 「思想」と「言葉」の続き。
 今の日本人に「ある言葉」=「思想」が「ない」という事を書いたのだが、「ない」のは「通り過ぎてしまう」からじゃないだろうか。これは橋本治が書いていた事なのだが。
 たとえばアザラシが川に出現した、ある首相が失言した、靖国に参拝するかしないか、テレビで捏造、韓国の俳優、甲子園で活躍した投手……硬軟いろいろあるが、とかく現在の日本人は「熱しやすく冷めやすい」。いや、そのレベルすらも超えている。これを《自分の中に取り込もうとして、そしたらなんだが取り込みようがなかったのでそのまま通り過ぎてしまったという状態》*1だと橋本治は書いている。なるほど。
 「通り過ぎていく」から自分の内に何も残らない。「ある言葉」だって「通り過ぎていく」。
(いつかに続く)

*1:原文では「なんだか」から「しまった」まで傍点付き。