不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

俺達の「007」


 新年最初の映画は007 カジノ・ロワイヤル。元旦だから空いているからと思ったが、席が9割埋まるくらいの盛況ぶりだった。街自体は空いていたんだけど、考える事はみな一緒だな。
 出演はダニエル・クレイグエヴァ・グリーン。初の金髪ジェームズ・ボンドである。何でも欧米では先代のピアース・ブロスナンの人気が高かったせいか、彼が次のポンドだと発表されたら反発がひどく、ボイコット運動、アンチサイトも出来てしまったそうだ。
 俺も、聞いた当初は貧弱なボンドになってしまうと思っていた。しかし、彼の出演作『レイヤー・ケーキ』を見て考えを改めた。これは期待できる、と(俺の『レイヤー・ケーキ』の感想はコチラ)。実際、彼のボンドデビュー作である今作が公開されたら好評で、シリーズ最高傑作とも言われている。映画評論家や「007」の原作愛読者からはダニエル・クレイグが演じるジェームズ・ボンドは最も原作に近いと評価している人もいるとか。見てから判断しないといけないね。
 物語は古典的。(真の意味で)「007」が生まれるまでの話、と聞けば大体展開が想像できて、その通りだった。それは別に問題ではない。「007」シリーズは、サスペンスや推理やどんでん返しよりも(これも期待したいところだが)、ジェームズ・ボンドが如何にカッコよく事件を解決するか、が一番の見所だと思う。そういう意味で、今作の演出はスタイリッシュ(冒頭のアニメーションが秀逸!)、セリフは粋、とかなり楽しめた。
 何より、ダニエル・クレイグがいい。紳士でワイルド、クールで皮肉屋、知的でタフガイ(死語?)、それでいて非常に人間くさいジェームズ・ボンドとなっている。多分、上の世代は未だに最高のジェームズ・ボンドショーン・コネリーだと思っている。俺も嫌いではないが、我々の世代はショーン・コネリーはジジイという認識なので若い姿を見ると、生々しくて胸焼けしそう。個人的にはピアーズ・ブロスナンは紳士過ぎて物足りなかったので、ダニエル・クレイグのボンドこそ“俺達の「007」”のような気がする。
 元旦にふさわしい映画だった。結末は少々ビターだったけど、それも予想できたので後味は悪くない。楽しかった。