不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

かけぬけた


 時をかける少女を見た。
 事前情報を全く入れず、良くも悪くも期待していなかったのだが、いやはや、かなりの良作。
 原作はご存知、筒井康隆。40年前の作品だそうだ。原作といっても、原案みたいなもので全然違う物語になっている。キャラクターデザインは貞本義行さん。こちらも言わずと知れた、「エヴァンゲリオン」の人。そのせいか、演出が(「エヴァンゲリオン」+「彼氏彼女の事情」)÷2、みたいだった。ガイナックスは関係ないみたいだけど。別に問題なし。好きです。
 物語は、高校生・紺野真琴があるキッカケからタイムリープ(時間移動)できるようになる。テストをやり直したり、カラオケを何度もやったり、好きな夕飯を食べるために過去に戻ったり、くだらない事ばかりに能力を使う。それを繰り返していくうちに、彼女の知らない間に、彼女とその大切な男友達二人、さらに周りの運命を変えていた。
 タイムリープという、よく知られているけど、収束させるのに難しい設定をうまく使っていた。高校生の友情、恋愛、そして未来を絡めながら、無理なく、爽やかに終わる。
 最近のアニメにありがちな、事前知識や予備知識、解説、裏設定、萌え、などがなくて、内輪受けじゃなくて一般向け。アニメを観ない人も観るといい。 
 とても真っ当な“青春”映画だった。観ていないので『ゲド戦記』とは比べられないけど、『ハウルの動く城』なんかより、ずっとずっと面白くて感動できる。上映館が少ないのがな、『ゲド戦記』とか、どうでもいいような映画じゃなくて、この映画を上映しなさい(命令)。世界の映画祭にも出せばいい。絶対にウケるはずだ。
 観終わった後より、少し経ってからの方がじわじわとくる。今、とてもグッときている。笑って、はらはらして、ドキドキして、感動する。
 “青春”という時をかけた人、かけている人、かける人、全ての人に捧げる、とてもステキな映画だった。