イベント(?)に参加する予定が、発起人が病気になったらしく延期となった。仕方なく、一緒に参加予定だったTと、後日見る予定だった『クヒオ大佐』を鑑賞。テンポよいコメディと思っていたが、意外やきっちり作られたドラマ劇。社会風刺も加え、なかなかの作り込み。役者も悪くない。が、地味すぎてイマイチ。笑えるけれど、もっと荒唐無稽でもよかったのでは。大オチがくだらないのもあって、まぁ満足はしているが、ギリギリ合格点といった感じ。あとはうだうだと買い物したり、くっちゃべったりして終了。いつも通りだな。
エレカシ作品感想「明日も、たぶんあさっても」
前作がスマッシュヒットして世間に認知され、ドラマ主題歌になった“今宵の月のように”でついにブレイク。満を持してリリースされたのが『明日に向かって走れ -月夜の歌-』。オリコン最高順位2位(1位がマライア・キャリーだったから邦楽では1位だった)。このアルバムがエレカシ史上最大のヒットで、いまだに売り上げ面ではこれを超えていない。
全体的に特に新しさはない。おもしろみという部分は皆無と言っていい。しかし、内容は文句なし。前作の出来と成功に感触を得たバンドが、いまできる最高の曲に、最高の演奏をしている。
いわゆる「捨て曲なし」「全曲シングルカット級」の一枚。とにかく、曲がよすぎる。珠玉の名曲群とはよく使う表現だが、まさにそれ。それでいて、アルバム構成もばっちり。“明日に向かって走れ”から“今宵の月のように”へ。
何気ないやさしさや、自分の体たらくの嘆き、迷い、愛しい人への思い、それらを単純な言葉でストレートに表現しているが、言葉の使い方はさすが宮本浩次と言えるセンス。バンドの演奏も、ぐっと技術が上がり聴かせてくれる。
熱い、それでいてちょっと切ないセンチメンタルなアルバム。イメージで言えば、『ココロに花を』が春夏で、今作は秋冬で、よく晴れた寒い日に散歩をしたくなる。寒さを感じながら、それを乗り越える力と強さがある。
このアルバムを引っ提げて、98年正月に武道館でライブを行っている。91年に3000人限定で同じ場所で行われたライブとは打って変わった祝祭の空気。エレファントカシマシ、最初の絶頂期。いまにしてみれば、どこか状況の変化についていけず、ふわふわしているようにも見えるけれど、まぁ後付けだな。
《いつの日か輝くだろう 今宵の月のように》
間違いなく、この瞬間のエレカシは輝く満月だった。楽しそうだ。武道館ライブはDVDにもなっていて、アンコールの“さらば青春” “赤い薔薇 ”は涙腺を刺激する名演。
だけど、満月は満月のままではいられないのだった。
- アーティスト: エレファントカシマシ
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 1999/12/08
- メディア: CD
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