暇つぶしにTumblrを眺めていたら、宮沢賢治『よだかの星』の一節が流れてきた、俺はこれまで読んだ事がなかったのだが、とても美しい一文だった。
そうです。これがよだかの最後でした。もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、上を向いているのかも、わかりませんでした。ただこころもちはやすらかに、その血のついた大きなくちばしは、横にまがっては居ましたが、たしかに少しわらって居おりました。
それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。そして自分のからだがいま燐りんの火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。
すぐとなりは、カシオピア座でした。天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました。
そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
今でもまだ燃えています。 *1
青空文庫で探して全文読んでみたら、これは最後の一節だった。まだ燃えている。宮沢賢治の代表作は何作か読んだ事があるが、正直この歳で宮沢賢治の文章を衝撃を持って読むとは思わなかった。青空文庫には縦書きバージョンのサイトもあって、そちらで改めて読んで、さらに他の作品も読んでみようとタイトルだけは知っている詩『春と修羅』を開いたら、目の前に広がる改行と余白がよすぎて、爆発しそうになった。GIFを使って文字を動かす事も、俺が思いもよらぬ方法の演出もできるだろう、だが、何気なく見つけた不意のこの白さが一番よい気がした。