不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

五月二二日、TAR

 友人に会いに行くカミさんを見送り、少しゲームをプレイしてから外出。

 『TAR/ター』を見る。カタカナ副題邦題はいるのかというのは置いておくとして(Aも本当はアクサンつきではないのか)、上映時間を一時間半だと思い込んでいたので、二時間半は長いなと構えていたら、何もかもが自分の好みすぎて、二時間半どころか倍くらい長くなってもたぶん退屈しなかったと思うほどの、それほど見ていない今年の暫定にして断トツ映画。「天才ゆえの暴君ぶりと狂気」はよくあるパターンだが、ターは我々の地続きの上にいるくらいには現実的で、しかし音楽(作品)とどこまでも向き合い、ひたすら解釈を繰り返し、そしてどこまで奉仕するのか、という点で明らかに普通と一線を画しており、賛否両論らしいその証明のようなラストは、つい苦笑してしまいそうになってしまうけれど、実はその笑いこそが我々の限界なのであった。はっきり言ってあれは、ハッピーとは言わない、ビターではあるけれど、とてもいいラストだったと思う。少し前からクラシック熱が再燃して結構聞いたり、本を読んだりしていたので、界隈ネタはほんの少しだけでもあの話ねと理解できてよかった。とはいえ、別に知らなくても何の問題もないとは思う。ワンシーンワンシーンが長く回されており、俳優を信頼した演出に完璧に演じてみせたケイト・ブランシェット、圧巻。引退するという噂もあるが、勿体無いと思うと同時に、やりきったというのもわからんではない。うまく感想が言語化できない、もう一回見に行ってもいい。すばらしかった。

 カミさんも帰っていたのでまっすぐ帰る。あとは家で『ゼルダの伝説BotW』。これで連休が終わり、ひたすらゲームをしていた。会社に行くのがかったるく、ゲームやりたいと思うほどの作品は久々。行きたくねえな、仕事したくねえな。