不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

三月一八日、シン・仮面ライダー

 雨模様の中、立川へ向かう。鶏肉料理の店で昼飯を喰い、オリオン書房で『国書刊行会50年の歩み』をもらう、こんなに濃くておもしろい冊子がただでいいのか。併設している喫茶店で時間を潰してから、シネマシティⅡへ。期待半分不安半分、庵野秀明監督最新作『シン・仮面ライダーである。具体的なネタバレは書いていませんが、情報を入れたくない人は以下読まないでください、といちいち断るのもなんですが。タイトルを書いているんだからそれくらい自衛してくれ。

 鑑賞直後は「庵野やった、やったな、信じてたよ」とガッツポーズをするも、しばらく経つと「うん、まぁ、でもいつもの庵野で、頑張っていたけど新しいものはほぼないかもな」となり、思ったより悪くないけど言うほどよくもないという微妙な評価で落ち着きそうで、それはそれであまりよろしくはない気がする。庵野秀明の現時点の集大成にして限界点。庵野が次にやるべき事は休む事ではなく(『シン・ウルトラマン』の時に「休養する」とか言っていたはず)、すぐに新作にとりかかる事だと思う、ノスタルジーに終止符を打って次のステージに行け。

 心配していた脚本は、ヒーローとは資質ではなく意志である事や性愛とは違う関係など思ったより頑張っていたけれど、やはり詰め込みすぎで拙速なためドラマが生まれない、かつセリフで説明しすぎなのに声が聞き取りにくいのが致命的。30〜40分で6〜8話くらいの連作にすべきだったのではないか。

 ダーティーな雰囲気とはいえ娯楽大作なのだからアクションが肝心だが、これは率直に言って酷すぎる。庵野の身体性のなさが露呈していて何とかならんかったのか。我々は『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』を通過しているし、日本にだって岡田准一の存在があるのだから、どうしたってアクションもそれなりのクオリティを求めてしまう。冒頭のバイクチェイスシーンからして不安だったがそれは最後までそのままだった、残念。スーツアクターを使わず、アクションらしいアクションを求めていなかったそうで、俳優陣は熱演はしていたと思うが撮影と演出がだめ、その手法は的外れとしか言いようがない。ショットはさすがの強度だけどそれが繋がっておらず、なおかつ強いぶんカメラワークがガチャガチャに見える。アングルやシチュエーションなど庵野の色といえば聞こえがいいが手ぐせから脱していない。そしておなじみのキャスティングはここまで来るとノイズ。と、後半は文句ばかり書いてしまったけれど、なんか私は好きだから困る。何なら二回目に行ってもいいくらい(行かないと思うが)。

 地元に戻り、パスタ屋で夜限定のラザニアを喰い帰宅。今日は『新選組!』はやめて、パンフレットなどを読み、映画の余韻に浸っているのだから、やはりいい映画鑑賞だったのだろう、たくさん文句はあるけれど。