不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

さらば、有難う、天才

 永遠の恋人三沢光晴が亡くなってしまった緑(いまは青)のマットを最後の戦場に選び、現役最高峰の内藤哲也介錯役に選んだかと思いきやつゆ払いにもしてしまって、盟友蝶野正洋と短いながらも一騎打ちを決行して、それを泣いていいのか笑顔になっていいのか、どちらにせよこれほど複雑ないい気分になる試合を見た事はなく、そのあとボロボロになった膝を使って自分の足で花道を歩いて去っていくプロレスラー武藤敬司の姿を見て、万感の思いを抱いたのは言うまでもない事だ。

 蝶野と川田利明セミリタイア状態だが蝶野は今日の試合で、川田は三沢の不在で試合する気は起きないであろう、もう闘魂三銃士プロレス四天王全員がリングから去ったと言っても過言ではない。それはすなわち私のプロレス人生の終わりを意味している、あとは余生だ。世に天才は山とあれ、プロレスの天才は二人しかいない、三沢光晴武藤敬司である。異論は認めるが、少なくとも彼ら二人が天才である事を否定するものはいないであろう、その二人に負けずとも劣らぬポテンシャルとキャラを持った四天王と闘魂三銃士がいた時代をリアルタイムでほぼ全てを見られた私のプロレス人生は間違いなく幸せであったはずだ、ピークは遠くとも猪木も馬場もまだいたんだぜ。第三世代はまだ現役で(好きだった中西学はひと足先に引退してしまったが)永田裕志にいたっては新たな金字塔を打ち立てている、いまの世代のプロレスを否定する気は全くなく今後も見ていくけれど、あのたぎるような熱い思いと共に食い入るように見ていた選手たちはもういない。いつかまたと願ってはいるけれど、ここで一旦の区切りなのは確かなのだ。

 終わった、終わったんだなぁ。武藤、本当に有難う、お疲れ様でした。