不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

一月二八日、島の精霊

 アップリンクができてから映画館は最寄りの吉祥寺の三館でだいたい網羅できて、これらで上映されていない作品も立川の二館があるのでこれでだいたい網羅できてしまう、もう都心の方に行く事がなくなってしまった。移動時間やめったに行かない街に行くのも楽しいけれど、それが億劫になってしまった私は中年。今日も吉祥寺オデヲンで、マーティン・マクドナー監督『イニシェリン島の精霊』

 「嫌うのは勝手だが、相手の感情や尊厳を傷つける権利を得たわけではないだろう」とコルムに抱いた憤りに近い感情をほぼ全ての人物に抱いてしまう、「悲しい本は悲しくなる」から読まない全てが他人事の人々による、身勝手な、おかしくて悲しい人間の悲劇の映画。楽園ではないけどどこかへ行ける事を選べる大人と、人から拒絶され好いていた人まで変わってしまってもうどこにも行けないと悟った子供との選択の違いに、また絶望感を抱かせる(子供がそれを「選んだ」かどうかはわからないけれど)。これ見よがしに出てくる十字架やロバや馬の視線など、おそらく聖書を知っていればもう少し物語を理解できたかも。聖職者に「神が気にすると思うか?」と軽んじられるその死だけが、ひたすら重くそこにあり続ける。

 喫茶店でカミさんと感想戦を行ってから、食材を買って帰宅。仕事の資料映像を見始めるも途中で寝てしまう、もう一回見るのもなんだなぁ。夕飯は鍋。夜は『新選組!』の第五回と六回を続けて見る、試衛館にメンバーが集まり始める。