不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

マイクル・コナリー『潔白の法則』/勝者のようにふるまえば

 ハリー・ボッシュやその他の作品はあまり読んでいないが、「リンカーン弁護士」シリーズだけは読んでいます、原作は七年ぶり、翻訳では五年ぶりの新作は、容疑者はミック・ハラー、弁護人もミック・ハラー、殺人事件で己を弁護する本人訴訟。獄中からの弁護活動は自由がきかず、拘置場内外は敵だらけという追い詰められた状況、どうなるミック! ちなみにこの世界でも大統領はあの人で、例のウイルスは蔓延していてその影響もあるぞ! ……といった本作も見事なストーリーテリングでぐいぐい読んだ。いつも通り、上巻は裁判前、下巻から裁判突入という構成は変わらずで、複雑な事件も裁判も読んでいれば読者が理解できる筆さばきは本当にお見事。おもしろく読んだが、終盤の展開は理解も納得もできるけれど、やや急であって正直言って肩透かしの感もあり、珍しくちょっと残念。それでも満足はしたし、そもそもこれが大いなる事件へのワンステップにも思えるのでまぁよし(とはいえ、他のシリーズで展開されたら困るのだが)。ミックは映画版のマシュー・マコノヒーをイメージしてしまい、それだけのハマり役だっただけにNetflixのドラマ版は再生はしてみたものの、主演俳優には申し訳ないが違和感が強くて見られなかった。マシュー・マコノヒーでまた映画を撮ってくれないかなぁ。