不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

踵を踏む女

 たとえばゴミ捨てのような短時間の外出で、カミさんは自分の靴の踵を踏んでサンダルのよう履いていく。靴の形が変わっちゃって長持ちしないよと言うと、そうだねとその時は言うけれどやっぱり踵を踏む。すぐそこにサンダルもあるのに。不思議なのはハイカットの靴でも踵を踏む、踏むのに労力がいるし踏んだところで履きにくいのに、サンダルの横にあるハイカットの靴の踵を踏む。サンダルはなんかちょっとねとカミさんは言う。彼女が自分の金で買った靴なのだから好きなようにしていいとは思うが、よくわからない。ところで我が家は猫が粗相する事があるので基本的に靴は靴棚の中かその上に置いておく。今日帰ったらカミさんのスニーカーが下にあったので自分の靴と共に上げておいたのだが、夕飯後私が皿洗いをしている最中にカミさんがゴミ捨てに行き、もしやとこっそり靴置き場を見たら上げた靴をわざわざ取り出して踵を踏んでいった、サンダルがポツンとあった。短時間だからいいじゃないとカミさんは言う、短時間なんだからサンダルでいいじゃないかと私は言う、そうなんだけどねとカミさんは苦笑いをしてわかったよと言うけれど、きっと彼女はまた踵を踏む。何故そうするのか、私はたぶん一生わからない。