不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

三月一九日、蝙蝠

 断続的な睡眠で時間のわりには疲れている、長尺の映画を見る予定だがまた寝てしまったらどうしようかと思いながら立川へ向かう。駅中のうどん屋で昼飯、ここがなかなかうまくて好き。オリオン書房を覗いてからシネマシティへ。

 『THE BATMAN-ザ・バットマン-』。予告から期待が上がっていたが、上がりすぎると肩透かしを喰らうかもしれないと警戒もしつつ、しかしどうしても陰鬱ブルース・ウェインが魅力的なので期待してしまった結果、肩透かし。キャストはみなフィットしていて力演好演。特にロバート・パティンソン演じるブルース・ウェインは倦怠と苦悩が艶になって色気満載、もっと見せて! あいつ、元気だったらMy Chemical Romanceのメンバーになっている、間違いない。彼のバットマンはまた見たい、でも続編あるなら監督変えてほしい。つまらないというよりも、総じてうまくない映画であった、演出も編集も撮影も。「光のために闇となる」『ダークナイト』から十四年後の本作が「闇ではなくあくまで光となろう」としたのは時代の変化によるものなのかもしれないが、描かれているものがいたって凡庸。

 リドラーもマフィアも警察もバットマンも、犯罪も悪も善も光も闇も「こんなものかな」というイメージから脱しきれていない。「バットマンなりかけ」である若きブルース・ウェインの葛藤、狼狽、失敗(ビビった大ジャンプからの着地失敗!)などはよかったが、あまり物語としては活きているとも思えず、ブルースとリドラーの対照描写もあからさますぎる。せめてサスペンス・ノワールに徹してくれればいいが、どうにも見応えの薄い(予告でいいシーンを使ってしまっていたのが痛い)アクションとカーチェイス、何よりキスシーンを削って、その代わりにウェイン家の日常を入れてせめて150分にしてほしかった。正直退屈スレスレだったが、ほつれ髪パティンソンだけでも120点ではあった。たまたま最近ニルヴァーナを聞いていたので、曲が流れてきた時は妙なリンクに少し驚いた。

 三時間以上の映画にすっかり疲れてしまい、ココイチで夕飯喰ってすぐ帰宅。

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