銀だこの前でたこ焼きをつっつきながら「結婚すっか」と言ったのが十年前の一月二日で、婚姻届を出したのが三月三日だった。何故二ヶ月も空いたのかは忘れてしまった。趣味や性格、生まれ育ちに政治信条、晴れ女と雨男と様々な面で違うのに喧嘩もせずに仲良くやってこれるのだから縁や相性はおもしろいものだ。
「十年の感想を一言で」
「快適で気分良し」
「相手への不満点や改善点は？」
「特になし。龍さんは？」
「右に同じく以下同文」
同棲した時だったか、「君を幸せにする自信がないよ」と言ったら「勝手に幸せになるから気にしないで」と即返されて、敵わないなと思ったのは秘密。丸十年となった今夜の食事はいつものカレーで、食後に小さなケーキを食べた。まだ十年、もう十年、短くも長いものであったし、長くも短いこれからをまた過ごしていく。
