不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

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 小津安二郎の映画は「あらすじ」を読んで何となく予想した上映時間はだいたい九十分前後なのだが、意外と二時間くらいあるものが多く(数えてはいないが)、その時点でちょっと驚く。見始めると、構図こそバキバキに決まっていて張り詰めているけれど、「このシーン、こんなに長くなくていいのでは」「ここはいるのか」と思う場面が結構あって、にもかかわらずいつの間にか見入って時間が経っている、ダレ場がダレ場になっていないと言えばいいのか。そう思って、途中で止まっていた『麦秋』をようやく見終えたのだが、この作品はずっとダレ場だったように思えて、つまり、世間的な評価はよく知らないが(いや、確か評価は高かったはず)、あまりおもしろくなかった。集中して一気に見なかったせいもあるかもしれないが、小津作品でもつまらないなと思うものがあるんだなというのは、ちょっと安心した、何に対しての安心なのかはよくわからないが。当時はこういうものだったのだとはわかっているが、結婚がこういう形で動いて決まっていくという事にちょっと驚く。紀子が一人、台所でお茶漬けを啜るシーンがよかった。