不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

おれは

 おれはドゥルーズだ。どう考えてもそうだ。見た目も知らなければ、彼がいつ死んだかも知らない。死んでいないかもしれない。しかし、明白なことがある。それはおれがドゥルーズであるということで、つまり死んだ男が、今、ここにいるのだ。わたしは、いつまでもそれが続くとは思えない。もう足の指先は幾分冷たくなっていて、小指の爪は跡形もない。それなのに、わたしは、おれがドゥルウーズだとわかっていた。明確にそう認識していた。わたしは書いている。おれが書いているのか。わたしは書いていた。なぜ書くのか? おれはそれを考えている。何を? 書いていることを? 違う。眠ることを。死なないことを書いている。おれは死んでいない。おれはまだここにいる。

 こうして始まる小説は、持っているけれど四分の一くらいしか読んでいない。四分の一くらいしか読んでいない小説が頭に浮かんだのは、今日、別部署の人から突然「ソクラテスみたいな顔をしてどうしたの」と言われたからで、私は顎付近に手を置きながらあのデータはPCのどこに置いていたかを思い出そうとしていただけなので、一応考え事はしていたわけだがそれにしたってここで古代ギリシャの哲学者の名前が出てくるとは想像もできず、そうか、俺はソクラテスなのかとまでは思わなかった。ソクラテスの見た目は知っている、石像を見た事あるから、ヒゲもじゃだ。死んだ事も知っている。俺はソクラテスではない、どう考えても。