不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

一月二二日、池波銀座

 「明日、時間ある?」と上司に聞かれたのは昨日の午後で、仕事かなと思いつつ「散髪の予約が」と言うと、「何時? これ行ってくれないか」と渡されたのは仕事関連のシンポジウムではなく、歌舞伎のチケットだった。「予定入っちゃって、カミさんも行けないからさ、もったいないじゃん」。有り難く受け取る。

 散髪は13時からで開演が14時30分と時間がないが、いつも散髪は一時間かからないくらいなので大丈夫だろうと楽観視していたら、今日は混んでいて一時間ちょっとかかってしまった。駆け足で電車に乗るも、乗り換えに手間取り、狙っていた一本に乗り遅れてギリギリのギリになってしまったが、何とかその時間に歌舞伎座に滑り込み。踊りは新年を祝うもので、二つ目の劇はめでたさもある滑稽話で明るく、おもしろかった。コロナ禍になって初めての歌舞伎座だったが、客席を半分にしているにせよ、それでも三割ちょっとくらいの入りだろうか、これは厳しい。また来ようと思うがなかなか来られない、演劇同様いつもそう思うのだけれど。

 せっかく銀座まで来たし、時間が早いから入れるだろうと煉瓦亭へ行く。歌舞伎の後に煉瓦亭なんて、池波正太郎のようだ、池波がそういうコースを実際に辿っていたかは忘れたが。久々に『池波正太郎の銀座日記』(文春文庫)を読み返そうかなぁと本棚から抜き出して冒頭あたりを開いたら早速煉瓦亭の登場。

 〔煉瓦亭〕へ入り、ハイボール二杯。ポーク・カツレツに御飯。私には何といっても、この店のカツレツが、いちばんうまい
 とんかつだのカツレツだのは人それぞれにルーツがあって、
「それは、ぬきさしならないものです」
 いつか、私の友人がそういったことがある。そうかも知れない。

 ルーツではないがそのポーク・カツレツと御飯、タンシチュー、エビグラタンをカミさんとわけわけ。ここで喰う時はいつも猛然と喰ってしまう。東京駅まで歩く。帰宅、カフェラテを飲みながらドラマ版『新聞記者』の続き。つまらない。

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