不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

一月一九日、グッチ

 病院に行き、喘息の経過観察。九割治っているけどもうちょっとだけ薬を続けましょうという事になる、治ってから二ヶ月後くらいにぶり返しだしたのでその方がよい。一度家に戻り、薬などを置いてからカミさんと再び外出。駅前の台湾屋台で飯を喰い、喫茶店でお茶。本を読んでいたら寝てしまう。時間になったので、映画館へ。場内では座席にアルコールをふきかけ、持ってきた新聞紙で拭いている人がいた、この感染者数なら気にするのはわかるがそれだけするならいま映画館に来るのを避けた方が精神的によいのでは、とつい思ってしまった。

 『ハウス・オブ・グッチ』。何せ『最後の決闘裁判』がすこぶるおもしろくて、なのにすぐさま本作が公開なのだから、よくぞこんな短期間に撮影したなと驚きながら期待して見に来たが、間が短かったぶん監督の作品への熱量の違いがわかってしまった気がした。巧みな演出と筆捌きで結果的におもしろく見てしまったけど、リドリー・スコットがグッチにもファッションにも興味がない事が見えてしまいやや冷めてしまってもいる。どこかから任せられた仕事なのかな、とすら思う。デザインの変遷くらい見せてくれてよ。なので、サーガとしての地獄の見せ方も浅め甘め。唯一、サーガの空気と物語はアル・パチーノが一身に背負っており、あの契約の場はまさに一人舞台(浮いているとも言えるけど)。パチーノとジェレミー・アイアンズの兄弟は濃い。アダム・ドライバーレディ・ガガは普通。ジャレット・レトは最高。とマイナスの事ばかり書いているけれど、同じシーンをリフレインさせて、クライマックスで違う意味合いを持たせた上に、そこで見せるマウの思い出し笑いは、何も語らずどの話を思い出したかを観客に委ねる事で思い出の美しさと切なさを際立たせていて、あれには脱帽、すごい。あれだけで金払う価値ある。

 観賞後、それほど腹が減っていないので、韓国チキン屋でセットを一人前だけ買って帰り、家で半分こ。『孤独のグルメ』を2エピソード見てから入浴、出たら「クローズアップ現代+」で茨木のり子特集をやっていたので見る。