不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

その逆

 朝、いつもより少し早めに出て、いつもの向かいのいつもと違うホームに行き、いつもと逆方向の電車に乗った。いつだって人は「いつも」の安心感と「その逆」の背徳感という矛盾した二つを求めている。今朝はさぞかしワクワクするだろうと予想していたが思ったほどではなかった。それもそのはず仕事の所用でそうなっただけだし、そのうえ行った先には上司がいて、事が終わればすぐに会社に向かうのだから、いくら自分を誤魔化すにも限度がある、残念ながらちょっと楽しい程度であった。いつか本当に衝動的にいつもと同じように家を出て、いつものホームから、いつもと逆方向の電車に乗ってみたい、乗ってしまいたい。問題はいつものホームからだと逆方向へ一つ行ったらもう終点なので全く遠くへ行けない事である。大きな「その逆」のために違う「いつも」を得るしかない、つまり引っ越しかないのだが、まさかするわけはない、「その逆」を手に入れるには遠い。