耳がよく聞こえなくなったので耳鼻科に行くと後輩が言うので、行け行け行ってこいと送り出し、小一時間ほどで戻ってきてどうしたどうだった疲れかストレスかと問うたら、やや残念な顔をしながら「単に耳アカがつまっているだけでした」と言う。そんなところで済んでよかったねと笑っていたのだが、ふと自分はどうなのかと気になった。一人暮らし時代は風呂上がりに綿棒で耳掃除をよくしていたが実はあまりやらない方がよい、そもそも耳掃除はしなくてもよいと知ってからはやめて、いまでは月一くらいしか綿棒は使わず、あとは伸びた小指の爪でコリコリと届く範囲を掃除をするだけ。たまに不意に奥からコロッと大きいのが出てくる時がある、俺は粘性でそういう事があって、乾いているとないらしくカミさんに驚かれる。少しずつ少しずつ奥に詰まっていき、でも少しずつだから変化に気づかず、いつの間にか耳が遠くなるなんて事がありそうで一度耳鼻科で診てもらいたいが、とはいえ耳アカが気になったので来ましたというのも他の急を要する患者に悪い気がして実行できない。いま俺はちゃんと音が聞こえているのか。
