不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

アメリカ紀行/海を隔てたあっちとこっち

 千葉雅也『アメリカ紀行』(文藝春秋。タイトルまま四ヶ月間のアメリカ滞在を記した内容で、アメリカを見るよりも、アメリカにいる日本の自分を見ているような紀行文、いやそれよりも、哲学あるいは保坂和志的な意味の小説のように読んだ、自分で書いておいて「保坂和志的な意味の小説」がどういうものなのか説明しにくいんだけど。先日評伝を読んだ江藤淳らの世代のアメリカ紀行とは明らかにテイスト、ニュアンス、視点が違っている、日本とアメリカの関係性が変わったからだがそれは国際関係ではなく個人が見る国家像(国家観)の変化からだろう。著者の本の中では一番読みやすく、一番読み解きにくい一冊なのかもと思ったが、そもそも著者の本はまだ三冊くらいしか読んでいない。代表作であろう『動きすぎてはいけない』は文庫版を買ってあるので、近いうちに読むつもり。

アメリカ紀行

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