不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

猫と寝室

 まさにたったいま、黒猫が閉め切っていなかったらしい寝室のドアを押して開けて入っていくのが見えたので、追いかけて部屋に入り、おい、いるのはわかっているんだぞと言うように強めに足音を鳴らしたらタンスの奥からスゴスゴ出てきて、そのまま素直に出て行くのかと思いきや、俺の見ている前でするっとベッドの下に入っていつまでも出てこない。これで隠れられてやり過ごせると思ったのか、のぞいたら「見つかっちゃったか」みたいな顔をしていたので、今度は「おいッ」と声をかけたら、スタスタと何事もなかったかのように部屋を出て行った。猫は何を考えて生きているのかわからない、わかるわけがない、わからないからいい、元号だ西暦だと人間が騒いでいたけれど、猫に時間の感覚があるのか。明るいと暗い、暖かいと寒い、それくらいしかないのでは。でもわりとかしこい。水木しげるが猫に「この世は通過するだけのものだから、あまりきばる必要ないよ」と言わせている漫画を描いていたが、この、人間が勝手に想像した猫ではなく、本当に、いかにも猫が言ってそうなところが、水木しげるのすごさだ。きばる必要はないのかもしれないけど、寝室には入らないでくれ、いろいろと処理や後始末が大変だから。