不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

作家と紙幣

 唐突に出てきたと思われる新紙幣の話は、最初はあくまで案だと思っていたがどうやら決定らしく、いつもこういう感じで決定・発表されていたっけ、思い出せない。俺だったら誰がいい、これがいいと大喜利のように話題になっていて、俺もまた考えて一万円はゴジラ、五千円はガンダム、千円はアトムはどうか。アトムではなくドラえもんでもいい。いや少し偏りがある、ウルトラマン仮面ライダー、よく知らないがセーラームーンプリキュアといったものも考慮に入れるべきか。

 夏目漱石樋口一葉に続いて作家だったら誰だろう。自殺した人はおそらく駄目だろうから芥川龍之介はなし。軍人でもある森鷗外もパス。三島由紀夫は論外。谷崎潤一郎はギリギリセーフだと思うけど妖怪みたいなものだからな。たとえば明治期くらいで、政治色が薄めで、それなりにいまの世で知られている人、ということで思いついたのは石川啄木。啄木の金遣いを考えると、国民が金を遣うようになって経済が回るかもしれない、同時に借金を負うようになるかもしれないけど。

 俺は石川啄木が嫌いで、それは作品ではなく人間としてで、だがクズな作家はいっぱいいるし、そういう人にさほど嫌悪感も怒りも覚えないのだけれど石川啄木に対してだけは、なんやこいつ、と怒りすら抱いてしまう、我ながらよくわからん。石川啄木の作品自体は嫌いではない、というかむしろ好きなくらいだ。なんでこんなに嫌いなのかと評伝なり何なり読んでみようと思うほどなので、もはや嫌いなのかもわからなくなってきた。そんな啄木が描かれた紙幣ができたら、俺はどう思うだろう、やっぱり持ちたくないのか、それともその紙幣を集めてしまうのか。