不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

大人になって

 さて、イヤホンだが、この機種が悪いのかこういうものなのか、わりと音飛びする、右耳だけ。その都度、効きの悪いテレビやエアコンのリモコンのように叩いたり(イヤホンは指でトントンする程度)、振ったりしてしまい、外さずに首を振ると勢いでグキッとなりそうになるので気をつけている。

 俺は骨、ではなく、関節がやたらとなりやすいタチで、首の骨の関節を鳴らすのは危ないからやめておけと知ってからやらないようにしているのだけれど、ほぐすマッサージのつもりでゆっくり回すだけであちこちがパキパキ鳴ってしまう、無理くりでないから問題ないと思うが。首よりもひどいのが指で、右でも左でも、握るだけでパキパキ鳴る、全部の指が鳴る、ずっと鳴る、永遠に鳴る、指が疲れても鳴るは鳴る、やりすぎればさすがにちょっと痛くはなる。どういう関節をしていると我ながら思うが鳴る以外には問題はなく、鳴らすと関節は太くなると言うけれど特段太くなった形跡もないので、そういう仕様なのだと諦めている。

 ガキの頃は鳴ってしまうのが怖くて、あるとき親にこれは大丈夫なのかと聞いてみたら、面倒だったのかなんなのか、「大人になったら治るよ」という一言で終わりにさせられた。そういうものかとその時は納得したが、それが小学校低学年の時でもう三十年近く経った今でも鳴っている、いつ俺の身体は大人になるのだろう。

 誰かに「大人になったら」と言われたのはたぶんその時だけだったと思うが、自分で「大人になったら」と思った事はいくつかある、「大人になったらお金の事を理解できる」「大人になったら世界のことが見える」「大人になったら恐怖や不安でパニックになる事がなくなる」「大人になったら…」「………」どれもこれもガキの時のまま、パニックなんかコントロールできそうでできていない。心もいつ大人になるのだ。俺が悪いのだろうか、悪いのだろうな、自分の事なのだから。

 中学生の時、家庭教師と何の流れだったか、「青春は年齢じゃない、自分で『青春だ』と思えばまだ青春だ」という話をした事があって、その人は大学生で20歳前後、まさに青春真っ只中にいるのに何を言っているんだと思った、すでにいっぱしのオッさんっぽかったからそれを気にしていたのかもしれない。元気だろうかハマタニ先生、俺が大学卒業する時に一度だけメールでやりとりしたが、もうアドレスをなくしてしまった。俺自身は中学生も高校生も大学生も、「青春だ」と思った事も感じた事もなく、もちろんあの頃は若かった、青かったと思う事はあるけれど、あの時が特別だったのだとは思えない、ずっと同じような心持ちでいた、いまもいる、何も変わらずにいる、延長線上といえば聞こえはいいが成長していないのだ、確かにまだ大人になっていないのかもしれない、でも大人ってなんでしょうね。