亡き母は夏目漱石が好きだったのだがそれ以上に寺田寅彦が好きで、何故好きだったのかは聞いた事がないのだけれど我が家に唯一あった文学全集は寺田寅彦全集だったくらい好きだった。それはいま俺の自室にある、全部は読んでいない、いくつかは読んだ、どこか近しい存在であった。
存在は知っていたが未読だった香日ゆら『先生と僕 夏目漱石を囲む人々』が河出文庫から青春篇と作家篇として出たので読んでみた。四コマでその名の通り夏目漱石とその周辺のエピソードが描かれていて、なかなかおもしろい、作家論ではなく人物のみに焦点をあてて、漱石含めて癖ある人物たちの話。たくさんの人物が出てきて、中村是公なんて好漢。だが俺の目はどこかで、ずっと寺田寅彦の姿を追っていた気がする。そして彼が、なんというか、俺が好きになりそうな人であった事に、嬉しくもホッとするところがあったのだった。そこまで思うのならば、彼の文章をもっと読まねばならんのだが、全集を持っているのだし。

先生と僕 夏目漱石を囲む人々 青春篇 (河出文庫 こ 23-1)
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