多和田葉子『地球にちりばめられて』(講談社)。言語と身体、言語と祖国、言語とコミュニケーション、言語とアイデンティティ……言語=自分への問いかけをしつつ、母語の文法≒国家/システムから解き放たれれば自由に「自分」になれるのだ、境界線を超越し新たな地平に行く小説。タイトルに込められた思い、誰もが移民になり得るのだという現状認識、「新しい独自の言語」から伝わる率直な気持ち。半分過ぎあたりまではメチャクチャおもしろい、ぞくぞくするほどだったのだが、終盤が些か前のめりになって、もう少し違うところに行って欲しかったかな、とも思った。
「君は仏教徒なの?」
「違うわ。わたしは言語学者。」
「それって宗教だっけ?」
「違うけれど、でも言語は人間を幸せにしてくれるし、死の向こう側を見せてくれる。」
- 作者: 多和田葉子
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