不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

最近読んだ本

 春日武彦平山夢明サイコパス解剖学』(洋泉社。二人の対談本三冊目、テーマは「サイコパス」。話題の本から人物、事件まで言いたい放題だが、暴言・放言になっていないのは実際に会ったり見たり聞いたりした経験と確かな知識が基盤になっているから。声出して笑えるくらいおもしろかった。
 こうやって対談を読むと、平山夢明は猟奇的な事件や人物が好きな普通の人で、春日武彦の方が変というか突き放すような距離と冷たさのある人だなと思う。そしてこの二人を引き合わせたのが吉野朔実というおもしろさ。まぁお三人とも変わってますわな。出てくる人物の名前が実名と匿名とが入り混じっているのだが、その違いは何なのだろう。まぁ匿名の何人かはすぐにわかるんだけど。ロバート・レスラーの話はちょっとゾクッとするものがあった。ちょうど編集中に起こったと見られる座間の事件についても少しだけ両者の見解あり。春日先生、一刀両断。
 最初に「暴言・放言になっていない」と書いたけど、いや結構あったわ。「根拠ないけど、四国と群馬は危ない」みたいな事を結構言ってた。雑談みたいな空気は嫌いではないんだけど、もう少し社会時評的というか、時事ネタに寄り添うことで一本の軸を持った方が、一冊の本としてはよかったと思う。

サイコパス解剖学

サイコパス解剖学

 宇野維正『小沢健二の帰還』(岩波書店小沢健二の音楽は結構好きで人物にはほとんど興味なし、されど本書は気になったので読んでみた。何故気になったのかといえば、立ち読みでパラパラと「おわりに」を先に読んだら、企画・担当した編集者が、ブレイディみかこや栗原康の本を手がけた渡部朝香さんだったから。この人が手がけた本なら、と。本書が岩波書店で出るのはちょっと不思議だったけど、納得した。音楽と言葉を読み込み、「小沢健二」を読み解いていく様がおもしろかったし、よくぞここまでと感心もした。正直に言えば、小沢健二のやろうとしている事も考えもそんなに好きではないんだけど、その意味は興味深いものがあった。まー、しかし、やっぱり性格悪いよな、小沢健二は!(褒め言葉のつもり)。『Eclectic』好きなんだけど、本書を読むまでずっと『Electric』だと思っていたよ……。
小沢健二の帰還

小沢健二の帰還

Eclectic

Eclectic