不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

休日派満開桜日記

 今日も昨日と同じく仕事……のはずだったのだが、急に予定が入った。上司が「行けなくなったからやるよ」と歌舞伎座のチケットをくれたのだ。演目は野田秀樹の歌舞伎版『贋作・桜の森の満開の下。実は友人から一枚譲っていただいており楽しみにしていたのだが、まさか別口から追加チケットが手に入るとは思わなかった。よっしゃ、二度見に行けるぜと勇んで久方振りに歌舞伎座に行ったら、何と大学時代の友人とばったり遭遇。彼もまた野田好きであったのでこれを見に来る事は不思議でも何でもないのだが、同じ日だとはすごい偶然だ。少し談笑をしてから、近いうちの再会を約束して、席につき幕開け前にとっとと弁当を食べてしまい、いざ鑑賞。
 しばらく観劇から離れているけど、いや、離れていたからこそか、この劇で、思わぬ友人との再会から様々な事が頭に浮かんだ。舞台をよく見ていた大学時代、当時からとても好きな野田秀樹や、逝ってしまった中村勘三郎、その二人のファンだった亡き母……思い出が心で渦巻く中で、終盤の桜散る場面に魅入り、何かを喪失する美しさに涙が出そうになる。夢の遊民社、野田地図と違う演出を三つ見たが、この歌舞伎版こそが、『贋作・桜の森の満開の下』が求めていたものではないか、とすら思った。中村勘九郎はもちろんのこと、夜長姫になった中村七之助が本当にすばらしかった。勘三郎はこの二人を見て喜んだ以上に、「俺がやりたかったのに」と悔しがったんじゃないかな。そう勝手に思ってしまうほどの舞台だった。
 何だか、胸いっぱいになってしまって、いつの間にか家にたどり着いていて、そこで出迎えたのは干す前よりも重くなった洗濯物だった。こっちの方では雨降ったんかい……。洗濯機を一度回してから入浴。日記書き。読書。寝る。