不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

ジーサンズ はじめての強盗/俺たちにも明日はある


 原題「GOING IN STYLE」なのにこんな邦題なのかよ、と愚痴一つくらいはやはり書いておかねばならないとして、しかし邦題のひどさでスルーしてしまうには勿体無い一品(の感想をいまさら書くのも申し訳ないのだが)。
 弱者(老人、有色人種)から強者(白人とそのシステム)への痛烈かつチャーミングな反撃と煌めきに泣き笑い。年齢そのまま老人っぷりを競う大御所三人の演技は楽しげだったし、バーで「あと寿命、何年あると思う?」という話をしていたのは、そのまま役者自身にも通じる話になるわけで、見ているものは二重でドキッとしてしまう。それでも計算して残り時間の少なさにしんみりするのではなく、「こんなもんしかないのなら、もっとやってやんよ」的な構えでいたのはとてもよかった。
 身体が動かないぶん洒脱な演出でリズムとアクションを作り、一癖ある登場人物たちの演技は味わいあり。スーパー店長の抜け目なさもいい。サスペンスは薄くて、ドラマも甘いけれど、晩年という言葉の日暮れ時のような温かさと切なさが沁みた。出てくる人物が特殊な能力を持っているのではなく、平凡そのものであったのもよかった。それにしてもアン・マーグレット、76歳にはとても見えない!