不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

ブラッド・ファーザー/セラピーに通え


 監督作のつゆ払いというと作品に失礼だが、復活後の俳優としてのメル・ギブソンは追っておきたくてはせ参じた。血の滾りより血の轍を描く事に焦点を置き、現在のアメリカをまるごと反映させた物語で、そういう意味では『ローガン』以上に「アメリカ」の映画だったのはこちらだと思うのだが(髭が生えたヒュー・ジャックマンメル・ギブソンが、妙に似ていた)、残念ながら完成度としてはちと諸々中途半端だった。カット割りの多さはおもしろいリズムだったとは思うが。ところで、今作の惹句は「MADなアイツが荒野に完全復活」なのだが、振り返ってみれば本作のギブソンはかつてクズではあったが、極めて真っ当で正気のままであったと思う。むしろ復活三部作『復讐捜査線』『それでも、愛してる』『キック・オーバー』の方がよほどMADだった。地味で、嫌いにはなれない作品ではあるんだけどね。