不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

釘とモアイ

 パク・ミンギュ『ピンポン』(白水社、斎藤真理子訳)。おかしな小説『カステラ』のパク・ミンギュの長編小説。過剰な人間たちが突飛な物語を歩くが、彼らの気持ちや感情は切実。いじめられっ子が何故自分はこうなのかを問うて辿り着く世界の仕組みや人類の構造、多数決の社会。「世界はいつもジュースポイント」だとするなら、試合は終わっていない。この切実さは、ある意味で加害者である事を意識してのものだと思う。文体といい、デレク・ハートフィールドばりのジョン・メーソンの小説の使い方といい、巧み。ちょっとした絶望の中、真っ白なピンポン球が映えていた。

ピンポン (エクス・リブリス)

ピンポン (エクス・リブリス)