不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

メッセージ/明日の君を昨日知る


 原作未読。昨日と明日の垣根を溶かした今日と自我を永遠へと流し込む。物語が遅い自身の筆致を熟知したヴィルヌーヴの職人芸が見事に冴え渡っていた。だが一方で、「future」という言葉が出てくるあたり、時間=生きるという我々の概念からはやはり飛べないものだなとも思った。祝福も残酷も見通せる中で何を選択するのか。先が見えてもその時間に私たちは生きるしかないというハードボイルドなロマンチズムが、ルイーズを演じたエイミー・アダムスが体現していた。
 ただ、正直言ってちと退屈ではあったかなぁ。SFは「すごく・ふしぎ」より「すこし・ふしぎ」の方が好みなのもあるが、時間概念を突破するのは難しいなと。そして次は生命の境界線を揺らす作品なので、結構期待している。
 未読の原作はさることながら、吉田健一の『時間』も読んでみようかと思った。