不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

スウィート17モンスター/青春という一人相撲


 外部にいる敵をサーチ&デストロイするのではなく、自らの内にいるモンスターへのスタン ド&ファイトが肝要だという姿勢とそれへの気づきが成長で、彼女の周りにスクールカーストも無神経な大人も子供もいないのは、みなその戦いの真っただ中だからであろう。それはたとえばいささか分の悪い役回りになったニック(アレクサンダー・カルヴァート)ですら、自分でペットショップのバイトで働いて貯めた金で買った中古車に誇りを持っている事からも窺い知れるはずだ。クスリとした笑いと、チクリとした痛みを巧妙に混ぜ込む脚本で、不機嫌なまま七転八倒しながら何とか前へ進むネイディーンをヘイリー・スタインフェルドが久々に会心の演技だったし、もの静かにそこにいる事で教え諭すやさしいハゲことウディ・ハレルソンもよかった。「ナイフみたいに尖ってた」ギザギザハートの彼女が「そんなに俺が悪いのか」と外に投げつけた咆哮に、「そんなに私が悪いのよ!」と自分で答える軌跡が思春期なのだ。