不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

印象論しか書いてません

 久し振りに音楽の感想を書こうと思ったら、ビックリするくらい何も書けなくて、どんなものでも日々精進しなければならないと思った次第。前はちゃんと書けていたのかと言われるとぐうの音も出ませんが。ぐう。
 宇多田ヒカルFantômeを聞いた。あまり書いていなかったけど、俺は宇多田ヒカルが好きだ。特に前作『HEART STATION』は大傑作だと思っている。だが、個人的パーソナリティは上っ面くらいしか知らず、活動休止の細かな理由などはよく知らない。そのうち戻ってきて歌ってくれるんだろうと、ぼんやりと思っていた。
 とはいえ、こんなすごい作品で戻ってくるとは思わなかった。印象論で申し訳ないが、通常のミュージシャンが一個ずつ駆け上がる階段を駆け抜けていくのが才能ある人だとしたら、いつの間にか上の方にいたのが彼女なのだ。アップグレードしたというより、全く別のOSになっているような感覚。これこそが天才というものではなかろうか。いや、あまりに才能という言葉だけで片づけてしまえば、彼女の努力を不意にする事になるかもしれないけど。この高い音楽レベルが、きちんとポップミュージックとして大衆に受けているという事実がまたすごい。
 『HEART STATION』は、いつ聞いても切なくなる。このまま消えてしまいそうだし、消えてしまいたくなる、だけど『Fantôme』はそうではなかった。のびやかだった、自由だった、楽しそうだった。それだけでよかったなと思った。
 歌詞カードを開いたら、いい香りがした。

Fantôme

Fantôme

 The Yellow Monkey“砂の塔”のMVが公開されたので十回ほど聞いた。最近はもうPV(プロモーション・ビデオ)とは言わないんですね。プロモーションにならないからだろうか。まぁそれはともかく、舞台はキャバレーという事で、ファンなら“熱帯夜”のビデオの舞台がストリップ小屋だった事を思い出したりするだろう。あれからずいぶん経って、楽曲も映像も練られるようになったものだと感心する。
 身も蓋もない言い方をすれば“BURN”の曲構成の延長線にあって、これぞイエローモンキーの真骨頂と言える楽曲なんだけど、あの時よりも果敢に挑んでいるのは確かだし、ちゃんと新しいグルーヴにもなっている。わりと複雑な出だしから歌へと流れていくが、間奏にベースソロという意表を突いた後でキーボードに転換させて盛り上げていくのが気持ちいい。にもかかわらず、キメの言葉が「安定はしない」という微妙なフレーズを使うのが吉井らしい。とてもいいです。早くライブで聞きたい。というわけで、メカラウロコ、行ってまいります。