不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

今日を迎えて―“ALRIGHT”感想

 ドキドキそわそわしながらオンエアを待っているなんていつ以来だろう。ちょうどその時間に会社にいて、たまたま上司がいなかったので、PCでradikoを立ち上げ、リアルタイムでThe Yellow Monkeyの新曲“ALRIGHT”を聞く事ができた。通して一度聞き、ラジオ局を回ってブリッジから最後までを追加で二回ほど聞けた。
 二つの意味で「やっぱり」と思った。一つは、現在公式サイトを開くと始まるツアー予告映像のバックで流れるギターの音が、どう聞いてもエマのギターにしか聞こえず、「これは新曲ではないのか」とずっと思っており、イントロからまさにその通りだったので「やっぱりそうだったか!」という事。
 もう一つは、「やっぱり、これがザ・イエローモンキーの音楽だ!」という、言葉にするとバカげたような、そんな当たり前の事である。
 解散後のメンバーの活動を私は吉井和哉しか追っていなかったのでどうしても吉井との比較になるのだが、これほどソロの音とバンドの音がはっきり違うものなのかと驚いた。確かに吉井の(正確に言うならYoshii Lovinsonの)1st『at the BLACK HOLE』は孤独を求め、一人を突き詰めたかのようなアルバムではあったけれど、それからナポリタンズ(しかしダサい名前だ)というバックバンドのメンバーとも出会ったわけだし、ゴリゴリのロックの楽曲もあるというのに、響きや鳴りが全く違う。それは吉井がバンドで限界を迎えたその先を、別の方法論でもって歩もうとし続け、実際に道を作ってきている証明であると言えるのだろう。
 だからこそ、ソロ活動が充実し、力を蓄えた今だから、もう一回バンドとして挑戦をしようとしているのかもしれない――なんて事まで考えたけれども、それはちょっと早計というか深読みというか、行きすぎな気がするので自重する。大事な新曲であっても、所詮はまだ一曲だけであって、彼らが新しい扉を開いたのかどうかはまだまだ判断はできないのだから。
 ただ、出だしから最後まで、音と言葉があまりに「ザ・イエローモンキー」で、あたかも斃れた場所からガバッと起き上がり、軽やかにジャンプしようとする光景が目に浮かんでしまったために、なんだか泣き笑いの一曲になったのも確かなのである。
 歌詞を見れば様々な事を思ってしまうが、個人的にはこの一節が気に入った。
《花びらに血が付いたら飛ぼうぜ
 離さないぜ》
《神様が作る人様に 振り回され台無し
 誰の背中を追いかける それは猿の名残り?》
 こう高らかに歌われてからの《今夜 準備ALRIGHT!》と言われれば、我々もこう答えるしかあるまい。「ALRIGHT!」。
 さぁ、始まるぞ。お楽しみはこれからだ。