不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

最近読んだ海外小説

 ダヴィド・ラーゲルクランツ『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』(上下、早川書房、ヘレンハルメ美穂/羽根由訳)スティーグ・ラーソン亡き後に残されたメモを頼りに書かれた続編。期待と不安に満ちていたが、読んでみれば気になっていた存在がついに出てきて加速する物語でそれなりに楽しめた。小刻みに場面を展開する手法を用いてテンポよく、一気読みでした。と、まぁおもしろかったんだけど、先の三部作ほどの興奮はなかった。これが最初だったら続編に手を出さないかも。あと、これはもう作者が違う人だとわかっているから後付けの印象なのかもしれないが、ミカエルやリスベットの人物造形、描写に若干の違和感を抱いた。どこがどうとははっきり言えないんだけどね。やっぱりあの三部作で終わりにすべきだったかもね。

ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 (上)

ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 (上)

ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 (下)

ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 (下)

 ドン・ウィンズロウ『報復』(角川文庫、青木創・国弘喜美代訳)。人物背景や状況説明、銃器や一瞬の意識の移り変わりなどの濃い書き込みをガソリンにして、クライマックスで短い改行の多様で一気に加速して駆け抜けるウィンズロウ節は健在で、一気に読んだ。残るのは戦士たちの絆と血塗られた正義の虚しさ。映画にしたら2時間で収まりそうなものを、よく600Pにしたものだな。《陰謀論好きなオリヴァー・ストーンのような》という一文があって吹いた。映画化した監督だが、ジョークなのか、映画化の際に揉めてその意趣返しなのか。
報復 (角川文庫)

報復 (角川文庫)

 ゾラン・ジヴゴヴィッチ『12人の蒐集家/ティーショップ』(東京創元社山田順子訳)。12本の短篇と中篇の一冊。真面目な顔で本気か冗談かわからない話をするような奇妙な作風で、少しビターな味わいがいい。ただ、どれもオチが弱いんだよな。無理に落とさなくてもいいのに、とも思ったり。