不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

Music for Change

 先日、映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』を見て以来、にわかにヒップホップ熱が高まっている。音楽自体はもちろんだが、そもそもの歴史を知らんと年末年始にとりあえず二冊ほど関連書物を読んだので感想を。映画の感想を書いてないけど……。
 一冊目はS・クレイグ・ワトキンス『ヒップホップはアメリカを変えたか?―もうひとつのカルチュラル・スタディーズ』(フィルムアート社、菊池淳子訳)。ヒップホップのざっくりした流れと、音楽ビジネスを中心とした社会の動きをリンクさせて分析。音楽業界における販売データ分析や、政治への動きなども興味深かった。「アメリカを変えたか」という問いに対しては「変えてはいないのでは」と思う。社会の変化に順応しながら、アメリカという国家に痛烈な一撃を与え続けている、という印象。

ヒップホップはアメリカを変えたか?―もうひとつのカルチュラル・スタディーズ

ヒップホップはアメリカを変えたか?―もうひとつのカルチュラル・スタディーズ

 二冊目はジェフ・チャン『ヒップホップ・ジェネレーション 「スタイル」で世界を変えた若者たちの物語』(リットーミュージック、押野泰子訳)。小さい字で750Pびっしり書かれた、濃厚でマッシヴな一冊。ヒップホップが軸ではあるけどそれだけでなく、アメリカの黒人闘争史と言ってもよい。公民権運動以降で、すなわち「ヒップホップの世代の戦い」である。話題が多岐にわたるので一読では把握しきれんかった。できればもっと写真欲しかったな。どうでもいいが、著者の謝辞がべらぼうに長かった。細かい字で3Pちょっとにギッシリと。大作CG映画のエンドロールみたいだった。
ヒップホップ・ジェネレーション 「スタイル」で世界を変えた若者たちの物語

ヒップホップ・ジェネレーション 「スタイル」で世界を変えた若者たちの物語

 二冊の共通点は「変える(変えた)」という言葉が入っている事。もちろんこれは邦題で、出版社がつけたものだろうけど、ヒップホップにおいて「(社会を)変える」という視点は重要だと思うし、黒人初の大統領であるオバマ「Change」を掲げて出てきたのも無関係ではないだろう。その辺も踏まえた本はあるかな。他のも読んでみるし、そもそもの音楽もぼちぼちと聞いていこう。