不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

最近読んだ本

 上田岳弘「私の恋人」(『新潮』2015年4月号)。文芸雑誌は買っても読めない事が多いので、まぁいずれ単行本で読むだろうからとスルーしたのだが、Twitterで見かける感想が褒めているものばかりだったので、図書館で借りて読んだ。いやー、これはすごいな。クロマニヨン人ユダヤ人、日本人サラリーマンの「私」という人称トリック(マジック)と、さらにその上にいる「私」、ダイナミックな展開と視点。何を言っているのかわからないかもしれないが、間違いなくそういう小説なのだ。相変わらず時間と空間をジャンプするが、前二作よりも縁の糸が太く感じられる。その上、ある種ロマンチックですらあるのだから。単行本で出たら買います。

新潮 2015年 04 月号 [雑誌]

新潮 2015年 04 月号 [雑誌]

 椹木野衣『後美術論』(美術出版社)。各章の書きっぷりや熱量は読み応えあったし、繋げ方もおもしろいし、図版も多く掲載されていて俺は知らん事が多かったので勉強にもなったけど、ジャンルの破壊に至ったのかはわからん(溶解というのはわかる)。ブルースの話なんかは教科書的だったし、U2の件は知っていたので特に新鮮味もなく。あくまで現在形なのはよかったけど、現在からの逆算もあった気がする。美術論は読み始めたばかりなので何とも言えんが。他のも読んでみよ。
後美術論 (BT BOOKS)

後美術論 (BT BOOKS)