不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

最近読んだノンフィクション本

 永栄潔『ブンヤ暮らし三十六年 回想の朝日新聞』(草思社朝日新聞の記者、編集者として現場一筋に生きた男の回想録。出世を気にせず、イデオロギーとは縁薄く、ブンヤである事だけを信念に、無頼に記事を書き続ける姿はかっこいい事この上なし。エピソードの羅列なのでちと小話集の感は否めないが、一つひとつがおもしろいし、たまに大ネタがさらりと入っていてビビる。昨今話題になったあれやこれやについての言及もあり。生臭いやり取りがあるのに読後が爽やかなのがよい。

ブンヤ暮らし三十六年: 回想の朝日新聞

ブンヤ暮らし三十六年: 回想の朝日新聞

 沢木耕太郎『キャパの十字架』(文藝春秋。「キャパの『崩れ落ちる兵士』ってフェイクじゃね?」という仮説をとことんまで突き詰めている。たいへんよく調べているけど、これだけの有名作への疑問をこれまで誰もここまで調べていないというのも不思議といえば不思議である。「オマエの説は認めてねぇって一言入れてくれるなら、あとは好きなようにやれや」とロバート・キャパの写真を提供をしたマグナム、器でかい。内容はともあれ、やっぱり沢木氏は苦手でした。
キャパの十字架

キャパの十字架