不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

最近読んだ二冊

 パク・ミンギュ『カステラ』(クレイン、ヒョン・ジェフン/斎藤真理子訳)。事前情報を入れずに、勝手にほんわかした話かなと思って読み出したら、なんとまぁ明後日の方向に向かった変な話ばっかりでビックリした。内容も文体も独特で、行の空け方、一言の置き方などが小気味良く、いいアクセントになっていた。それでもちょっと途中で飽きたけど。モチーフはどれも突飛で、それを使って資本主義社会への皮肉が存分に描かれていた。全体的にポップではあるが、ポップな軽さがそのまま虚しさでもあり、それは現代韓国(いや現代社会か?)の空気なのかなと思った。なかなかよい短篇集でした。長編読んでみたいが、長編でこんな感じだとちとキツそう。

カステラ

カステラ

 浦田憲治『未完の平成文学史 文芸記者が見た文壇30年』(早川書房。ざっくりとした考えになるが、昭和が様々な要素が絡んで太い幹(歴史)を作っていた事に対して、平成は要素それぞれが独立独歩で前に進んで行っているととらえているのだが、それは文学史も同様なのかなと思った。
未完の平成文学史: 文芸記者が見た文壇30年

未完の平成文学史: 文芸記者が見た文壇30年