不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

年末年始に読んだ本

 いつも通り「年末年始に分厚い本を読む」と掲げたが、あえなく頓挫した。今年は『「ボヴァリー夫人」論』と『21世紀の資本』が手元にあったので、どっちかはなどと考えていたのだが、結局前者の五分の一くらいで休みは終わった。ついでにこちらは図書館で借りていたのでもう返却する事に。意外と読む時間ないんだよなーと言いながら、結構な本を買ったし借りた。それが積まれたままになっているので、ドコドコ読んでいかんと。結局、年末年始に読めたのは下記三冊。
 マイクル・コナリー『判決破棄』(講談社文庫、古沢嘉通訳、上下)。しつこくて恐縮だが、やはりこのシリーズはおもしろすぎる。そもそもこのシリーズは事件自体はすでに落ち着いている(裁判がメイン舞台なので。もちろんそれだけではないが)。だから上巻は周辺情報を集めたり、動く事態に対処するので地味といえば地味。だが、裁判が始まる下巻はスリリングなやり取りにページをめくる手が止まらない。フェアではあるけど、場外戦や急襲もあって、手加減遠慮なしの大人の喧嘩である。
 前作に続き、本作にもハリー・ボッシュは登場しているが、前作はあくまでキーマンだったけど今回は準主役。一人称のハラーパートと三人称のボッシュパートを入れ替えながら物語は進む。それによって、ボッシュとハラーの違いが明確に見えてきて、二度おいしい。結構ビターな味わいがあって、よござんした。次に翻訳されるコナリー作品もこのシリーズらしいので、いまからそわそわして待つ。メインとも言えるハリー・ボッシュシリーズも読まねばなぁ。

 筒井康隆『繁栄の昭和』(文藝春秋。思わずZazen Boysばりに「This is Tsutsui Yasutaka」と言いたくなるような短篇集。ネタ満載仕掛けだらけだがアクは薄めで、筒井ファンにとってはおつまみ程度かもしれないが、初心者ならば筒井ワールド入門書にいいかも。それにしても、いまだ現役バリバリでひた走ってんなぁ。最後の一篇だけ、高清子という女優についてのエッセイで、途中まで何か仕掛けがあるんじゃないかと構えてしまった。何で最後だけエッセイ? ページが足りなかったの?
繁栄の昭和

繁栄の昭和