不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

7年ぶりの

 チケットが余ったらしく、上司にコクーン歌舞伎三人吉三に誘われた。毎度思うが、穴埋めの代役が俺でいいのか。まぁいいんだろうけど。
 中村勘三郎の『三人吉三』を見たのは7年前だ。ついつい比較してしまうけれど、全く遜色ない、すばらしい舞台だった。何より主役を務めた若手三人のエネルギッシュで、躍動する身体がいい。もちろん父親たちに比べれば貫禄や迫は物足りないけれど、自覚しているのだろう、丁寧に演技を積み重ねていって芝居を作り上げ、最後は見事に役を昇華させている。
 特に、同じ演目同じ役なだけに、前から似ていると思った父親と息子が、いい意味でダブって見えたよ。それは乗り移ったというようなものではなく、受け継がれたものだ。勘九郎、こんなにいい役者になったんだなぁ。
 第三部、ラスト20分。7年前と同じく舞台に、そして客席に雪が降る。しんしんと。雪越しに見る三人の吉三の大立ち回り。一瞬一瞬が美しくて、それに酔いしれた。