不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

パワーウォリアーの引退

 佐々木健介が現役引退を表明した。早いと思っていたけど、もう47歳、おかしくない年齢ではある。
 と書いたところで、筆が止まってしまった。あまり思い入れがないのだ、健介には。だけど、別に嫌いではなかった。むしろ好きな方だった。特に新日時代の90年代後半は、わりと大きな存在だったと記憶している。2000年のG1では中西学と、黒パン黒シューズ同士でそりゃー熱い決勝戦をやったものである。いまやあまり見ないゴツゴツのバトルだった。新日vs全日の川田との戦い、リベンジをかけた二戦目は、確か俺の初めてのドーム観戦だった。
 IWGPだけでなく三冠ヘビーGHCも制覇したし、小橋建太との試合は年間ベストバウトにも選ばれた。どう考えても一級品のレスラーだと思う。にもかかわらず、健介はファンから熱烈に愛される存在ではなかったように感じる。俺の見たところ、小橋の時と違って、突然の引退表明にもネットでは反応が薄めだし、田上のように「お疲れさん」という空気でもない。
 不器用そうに見えて結構小器用だからだろうか、常に長州の影が見え隠れしているからだろうか、北斗晶の存在があるからだろうか。おそらくだが、本人はど真ん中のつもりでも周りから見たらちょっとズレているのが理由の一つではないかと邪推している。引退だって、健介ほどのレスラーならば、もっとちゃんとした形があっただろう。しかし、愛弟子に敗れた後でマイクでポロリと発言し、そのまま試合はせずに会見で終了だ。肩すかしにもほどがある。
 ただ、これがまぁ健介というレスラーなんだろうなとも思った。ズレながらも自分を信じて一所懸命走っていった。そして「思い残すことは何もない」と言い切って引退できるのだから、幸せなレスラー人生だったろう。伴侶にも恵まれ、タレントとしても順調だ。まぁ黒い噂話の真偽はまだ残っているけれども……。
 ともあれ、俺もなんだかんだと言いながら、ハセケン時代からずっと見続けていて、健介には様々なリングで、いろいろな形で大いに楽しませてもらったのだ。だから、やっぱり最後にはこの言葉を贈りたい。
 健介、お疲れ様でした。有難う。
 それにしても、いつかは終わるとわかっていたとしても、俺の青春が少しずつ消えていくのを目の当たりにするのは、淋しいものだなぁ。