不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

最近読んだ本の中から

 黒岩比佐子『パンとペン 社会主義者堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社。歴史に埋もれていた(又は空白だった)堺利彦と売文社についてのノンフィクション。力作でめっちゃおもしろいし、社会主義とは何か(何だったのか)がよくわかる。この時代の熱が伝わってきて、変な言い方だが人間の可能性も感じた。彼ら熱き社会主義者たちが、もしも社会主義が崩壊していった事を知ったら、どんな事を考え、行動しただろう。名前は違えど、信念は変わらず、やっぱり活動するのかな。するだろうな、彼らなら。
 黒岩さんの本は初めてちゃんと読んだが、丹念かつ丁寧な取材に凛とした文章、ハードボイルドに書く本編にポツンと添える私事など、バランスがよくて、とてもおもしろかった。いまさらながら早逝が惜しまれるなぁ。古本市で一度だけお目にかかった事がある。いま出ている本をゆっくり、しっかり味わおう。

 和田誠『聞いたり聞かれたり』(七つ森書館。インタビューしたりされたり本。聞いたのは勝新太郎、森重久彌、立川談志太地喜和子、内藤陳、岩城宏之。みんなおもしろいけど、中でもカツシンと談志は声が聞こえてきそうで、おもしろい。特にカツシンの『影武者』降板の真相をはじめとした語りっぷりがよすぎる。話が飛躍したり、意味不明な個所もあったりするけど、それを含めて、まさにカツシン。
 聞かれるのは和田誠自身の監督作の話。また撮ってくれないかなぁと思っていたが、本書の前に出た雑誌『イラストレーション』(2013年12月号)「特集 和田誠のイラストレーションデザイン」に掲載されていたインタビューで曰く、《もう一本撮りたい、という気持は強いのですが、難しいでしょうね。ぼくの監督作品は興行収入はほとんど上げてないんです。そういう監督の次回作はプロデューサーがつかなくて、なかなか実現しないようです》。うーむ、誰かプロデューサーついてあげてー。
聞いたり聞かれたり

聞いたり聞かれたり