本棚を漁っていたら、買った覚えのない本とか、探していた本とかを発掘できた。楽しみにしていたのに、楽しみだったがために後回しになった本が結構あるので、その辺も読んでいかねば。読まねば意味がない。
それはそれとして、最近読んだ本から。
春日太一『仲代達矢が語る 日本映画黄金時代』(PHP新書)。おもしろい。語り下ろし半生記なので踏み込みの浅い部分もあるけど、あくまで日本映画史に絞られているので仕方ない面もあるし、何より多彩なエピソードと語り口の妙が光っていてぐいぐいと読ませる。自由なままに映画界を歩き続けた仲代達矢が、ルネッサンス期を求めるのは何だか頷ける。
著者(というか聞き手)の春日氏の前作『天才 勝新太郎』(文春新書)も読んでいるが、こちらも書かれているエピソードや内容、そして勝新の魅力は存分に味わえたけど、いささか勝新に肩入れをしすぎて、黒澤明に対して冷たすぎる気がした。あと文章もかたくてイマイチだった(『仲代達矢が〜』は語りなので、その点が改善されたかどうかわからんけど)。だがこの『仲代達矢が〜』によって、黒澤明については補完されていたと思う(それでも結構冷たいけれど)。だから、いっそのこと、春日氏には黒澤明について書いてもらいたいね。
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