不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

ちょっと前に読んだ小説

 葉真中顕『ロスト・ケア』(光文社)。介護をテーマにしたミステリーというのは他にあるのだろうか。ベクトルは違えど「高瀬舟」を思い出したが、しかし今作は紛うことなく「現在」を描いている。もう少しケレン味が欲しかったが、着実に周辺を埋め、最後にドカンと来る力作。謎解き自体は少し拍子抜けしたし、あと一歩その先が欲しかったけど。後味は苦い。これが処女作、次作は何を書くのか気になる。

ロスト・ケア

ロスト・ケア

 吉田篤弘『なにごともなく、晴天』(毎日新聞社。この人の本、久し振りに読んだかも。一応長編だが、短い話が連なっていて、ささやかな生活の話がわりとおもしろい。日常のほんの少しの大きな変化というのを描いているのはよかった。中盤で少し飽きちゃったけどね。何となく中央線の高架下をイメージした。
なにごともなく、晴天。

なにごともなく、晴天。

 片岡義男『スローなブギにしてくれ』(角川文庫)。変なタイミングで処女作を読んだわけだが、ちょいと困った。言葉の端々が古いのは仕方ないけど、どうにも物語が頭に入ってこないのだ。優しさのハードボイルドなのはわかるが、ピンと来ないなぁ。実は2、3篇でやめてしまった。うーむ、またの機会にしよ。
スローなブギにしてくれ (角川文庫)

スローなブギにしてくれ (角川文庫)