不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

逆転現象

 12月、忘年会の季節である。当然ながら毎年各方面で行われる会だが、個人的には酒が飲めないのもあって大人数の宴席は苦手で、さらに別段忘れたい事もないのであまり参加したくない会である。今年は必要最小限、親しい友人・知人とのものを含めて二つか三つぐらいでよいと考えている。まぁ考えずとも毎年それくらいしか出ないのだが。
 などと思っていたのに、本日早速一つ出席する羽目になった。適当に返事をしていた会で、夕刻まで完全に忘れていた。ここでのドタキャンは申し訳ない。上司らも出るので一緒に出席。和やかに曖昧な笑みを浮かべながら談笑。話はずまねー。社交辞令めんどくせー。メシがうまいのが有り難い。端っこでぱくついていたが、フランス料理の立食でイマイチ食いでがない。パンくらいないのか。
 一時間ばかり経った頃、ふと周りを見渡すと上司がいない。……か、帰りやがったなー。せめて一言いってくれれば、一緒に店を出たのに。アウェイがさらにアウェイになったではないか。
 出入り口の方に移動して、受付係の人と会話しつつ脱出のチャンスをうかがう。受付係は学生さん(または卒業したて)だった。大学の後輩だったので適当に話をしながら(愛校心は特にないが、共通の話題という事で)、俺は君たちよりも10歳は年上である事を告げると、「ええ、少し上くらいだと思ってました……お若いですねー」と驚かれて、俺も戸惑った。これまで10歳くらい上に見られる事はあっても、若く見られた事は初めてである。
 スーツを着ていなかったし、周りにいるのがオッサンオバサン以上の方々ばかりだったので、通常より若く見えたのかもしれないが、ついに顔と年齢の逆転現象が起き始めたのかもしれない。起こったからといってどうという事はないし、つまりはそれだけ歳を喰ったとも言えるわけだけど。
 隙をついて荷物をピックアップ。「若人よ、がんばりたまへ。意外と世の中、なんとかなるよ」という助言にもなっていない助言を残して、店を去った。