不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

アメリカと吉祥寺

 山本美希『Sunny Sunny Ann!』(講談社。ぶっとい線で、コマ枠などお構いなしに思うがままに描かれたダイナミックな絵が魅力的。車で生活するデラシネな女性が、たった一人で一作のロードムービーを体現しているかのようで、その力強さと切なさにぐっとくるものがある。求め、求められ、通り過ぎた景色と目の前にある道だけを信じ、世界を肯定する。こんな漫画があったんだなぁ。『hb paper』003に作者インタビューが載っていて、そちらも読んだ。*1

Sunny Sunny Ann! (KCデラックス モーニング)

Sunny Sunny Ann! (KCデラックス モーニング)

 いしかわじゅん吉祥寺キャットウォーク』(エンターブレインいしかわじゅんのフィクション漫画ってほとんど読んだ事がなくて、むしろ漫画評論家兼コラムニストのイメージが強かった。このたび本書を読んで、いしかわじゅんって本当に、しかもおもしろい漫画家だったんだなとようやくわかった。絵が昔と同じなのに(細部まで丁寧とか顔がしもぶくれ気味とか)、漫画全体としてはきちんと現代になっているのがすごい。ギャグはまあまあなのだが、時折り差し込まれるハードボイルドな空気がいい。帯で江口寿司が「いしかわさん、おいてかないで……」とつぶやいているのが笑った。いや、笑っている場合じゃない。アンタも書けよ。
吉祥寺キャットウォーク 1 (ビームコミックス)

吉祥寺キャットウォーク 1 (ビームコミックス)