不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

この世は舞台、人はみな役者

 お笑い以外ではNODA MAP『ザ・キャラクター』以来、2年ぶりにこのカテゴリーを使った。
 井上ひさし生誕77フェスティバル2012 第2弾 こまつ座第九十六回公演 公演『『雪やこんこん』を見た。作・井上ひさし、演出・鵜山仁、出演・高畑淳子金内喜久夫今拓哉、村田雄浩、山田まりや、宇宙。高柳絢子、新井康弘。ハコは紀伊國屋サザンシアター
 時代遅れで消滅寸前の旅一座が主人公なだけに、冒頭からベタというか、古くさいセリフややり取りに少々不安になってしまったが、だんだんと真相がわかってくると、その古くささ、芝居くささが効果的に働いてきて、どんどんおもしろくなってくる。挟まれてくるセリフも、井上ひさしが集めてきた大衆演劇の名台詞ばかりらしく(不勉強でそこまでわからなかったけど)、ある意味、大衆演劇のエッセンスがつまった劇作だった。
 二転三転、狂言の重ね合わせで笑いができあがっていって、しかし最後にはきっちり人情話で〆てくるあたりの手腕はさすがである。そして大オチ、〆となる演出も見事で、楽屋ネタ、メタ的要素を凝縮して客席に放り投げてくるものだから、やんややんやの拍手喝采だった。
 久し振りの観劇だが、たっぷり楽しんだ。久方振りに演劇熱が上がってきた。なんか他のも見に行こう。

 裸で横に歩く奴が栄えて、まっすぐ芸で押してきたものがバカをみる世の中でございます。この頭の上の空に日光、月光そして星の光と三つの光のあるうちは、どう落ちぶれようと、中村梅子、役者としての魂をくもらせたくない料簡でございます。