不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

恋は血の色


 『モールス』(監督/マット・リーヴス、出演/クロエ・グレース・モレッツ、コディ・スミット=マクフィー、リチャード・ジェンキンス。遅ればせながら見たのだが、起承転結から承を抜いちゃったように思えた。省略やジャンプなどの演出ではなく、単にごっそり抜いた感じがして、そこを構築しておかないとあの二人の孤独と共感が呼びにくい。動きが思いのほか激しいのはまだいいとしても、もうちょっと黒と白と赤の三色をうまく使ってほしかったが、なんせ明りに関しては縛りがあるのでちょいと無理な注文か。
 ファンタジーとリアルの境界線ギリギリで佇む、その筆致は嫌いではないのだが、最終的にはキレイにまとめてしまい、あれだけの血を流し、大いなる循環へ身を投げ出したのだから、その決意、悪意、皮肉をもう少し捉えて欲しかった。よくも悪くも細部まで考えられていて、そのぶん音楽が少々うるさかったのが残念。傑作の呼び声高いリメイク元『ぼくのエリ』はまだ見ていない。ぜひ見てみなければ。