不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

祭典の哀愁

 某所でレッスルマニア27の何試合かを見た。興奮しちゃって、勢いで簡単に感想を書きます。ネタバレは回避してますが、一応気をつけてください。
 WWE(旧WWF)の凄いところは、この世界最大のプロレスイベントであるレッスルマニア(今回は70000人入ったそうな)が終着点であると同時に、中間点そして始点にもなるところである。WM17のザ・ロックvsストーンコールド・スティーヴ・オースチン戦を思い出していただきたい。後味の悪かったであろう大会だが、ここでの衝撃の結末が、その後のWWF(当時)vsWCW・ECW連合軍(アライアンス)のクライマックスであるサバイバー・シリーズのメイン戦を生み、そして10年後の今大会でのステージ裏の邂逅に、思わず歓声を上げてしまうのだった。
 だから、メインであるジョン・シナvsミズの結末も、なんだか腑に落ちない気分になりつつも、ここからひとつの大河ドラマが始まるのだと思えば、なかなかわくわくするものがあるのだ。
 そんな中で、アンダーテイカーvsHHHは大河ドラマの一つの終着点であり、尋常ではない盛り上がりであった。二人のドラマだけでなく、ショーン・マイケルズとの友情(HHHだけでなくテイカーと芽生えた友情も含めて)、テイカーの20年、そしてvsHBK戦同様、ある意味でWWEの歴史そのものであって、否が応でも試合の中にいろいろなドラマや感情を勝手に見てしまう。
 テイカーの復帰→直後のHHHの復帰→一言も交わさず視線での意志疎通→試合決定という、凡百の映画や役者では立ち向かえないような物語を一気に作り上げる二人に悶絶し、試合直前の煽りVの仕上がりっぷりにビビり、二人の入場シーンのカッコよさにチビりそうになるのだった。
 そして始まった試合。昨年一昨年のテイカーvsHBK戦を思えばプレッシャーは計り知れない。特にテイカーは、コンディションもよくない中で、己の作り上げた伝説とも戦わなければならない。本当に偉大な男だと思う。
 正直言ってWWEでこんな哀愁が漂う試合になるとは思わなかった。たとえばHBKvsフレアーにも哀愁はあったんだけど、それは目の前にあるフレアーの「引退」から発生したものだった。この試合には哀愁なんてなく、試合前にあったのは殺伐さだった。それが試合が経過するにつれ、哀愁へと変化していき、試合後の両者のふらふらな姿に「アクシデントがあったんじゃないのか」「いや、あれも演出だろ」という見た者の感想、虚実が混濁した感情は、映画『レスラー』を思い出させた。
 もう、何書いてんだかわかんなくなってきたんだけど、とにもかくにも、たった一試合だけど、見事な大河ドラマがここにあって、あープロレス好きでよかったなーと本気で思える試合でした。みんな、見るといいよッ! 見て語り合おうぜッ!
 以上です。